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住まいづくりcolumn

両世帯の「快適」を形にした 完全分離型2世帯住宅

3方向を道路に面する立地を生かして
お互いの生活動線が重ならない暮らし方を設計

 別々に暮らすご両親のこれからを心配し、実家を2世帯住宅に建替えることにしたT様。しかし、2世帯住宅を計画する際に、親子と言えど生活リズムが全く異なる世帯同士の同居に不安を感じるという人は少なくはない。そこで、今回の設計を担当した「スレッドデザインスタジオ」の伊藤さんと岸原さんは、お互いの世帯の生活動線が重ならない完全分離型の2世帯住宅を提案。1階は親世帯、2階を子世帯とフロアで生活エリアをゾーニングし、玄関も別々に設置することで、ご一家の不安を解消することにした。

 親子が身近に互いの存在を感じられるという喜びや安心感は何物にも変えがたい。しかし、ご一家は同時に両世帯が互いに必要以上に干渉しない一定の距離感も求めた。一日の活動開始のタイミングや帰宅時間が違う両世帯の生活動線が重ならないように玄関は別々に設け、敷地の3方向を道路に面する立地を生かした世帯ごとの「顔」となる外観をデザインした。集いの場であるリビングは、相互の世帯で視線が交差しないよう上下階の同じ位置に重ねたり、生活音にも配慮。それぞれの世帯にとっての快適な距離感を大切にしながら、暮らしやすさと安心感を兼ね備えた2世帯住宅が完成したのである。

Post:2024.04.16