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住まいづくりcolumn

住む人の琴線に触れる 感性に導かれた空間の妙

失われつつある「価値観」を再認識できる住まいの設計思想

 昨今の住宅を語る上で必ずキーワードとして挙がってくる「効率」や「コストパフォーマンス」といった言葉。もちろん、これらが家づくりにおいて大切な要素であることに間違いはない。寧ろそれを優先することが、そのお施主様においては最適解に結びつくということもある。しかし、一方で人間には「なぜだかわからない心地よさ」という、データや数値では計り知れない、感性が刺激される感覚もある。こうした理屈ではないものは「効率」や「コスパ」の勢いに押され、近年の住宅ではあまり重視されなくなっていると感じることも多い。
 今回のお宅は、オーパススタイルがこの感性に呼応する家づくりを追い求め、形になったものなのだという。例えば、現代の住宅では天井高が高く窓が大きい開放感を重視した設計が多い。もちろん、オーパススタイルの家でもそうした設計はよくあるし、その方向性が最適であると判断すればそうした提案をしている。しかし、この家の場合はLDKを除く多くの場所の天井高を2m10㎝程度にとどめ、開放感ではなく「籠る」という感覚を設計に取り入れた。実際に家の中に入ると、不思議と何とも言えない安心感と落ち着きのある空間に包まれる感覚を覚える。

心地よい「籠り感」はそのままに、窮屈さを感じさせない空間設計

このお宅は住宅地の中の一画に位置するため、外部からの視線に配慮して窓が一般的な住宅と比べると比較的低い位置に設定されている。しかし、座っていることが多いLDKでは、座位での水平方向への視線の抜けや天井高など様々な要素が複合的に作用し、何とも言えない気持ちの良さを感じる空間になっている。立位になると、今度は自分の目線より低い位置からの明るさが室内に柔らかに広がり、これもまた気持ちの良い「籠り感」を演出している。
 実は、この家は建坪が25坪程度。LDK以外に寝室、二人用の子供部屋、もちろん水廻りや収納もしっかりと完備。空間のメリハリや抜け感、庭との繋がりなどによって生まれる居心地の良さが狭さを感じさせない…これこそが設計の妙なのだという。

 この家の大きなポイントはもうひとつ、お庭にある。掃き出し窓の先はデッキを通してお庭と繋がり、目にも優しい緑の心地よさとともに眼前に視界が広がっていく。リビングの小上がりにも、小さな窓を通してお庭の景色が視界に入り込む。お庭を借景のようにイメージしたこれらの景色は、空間をデザインする上で欠かせないものだったのだという。

Post:2026.04.09