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住まいづくりcolumn

水盤のある陶芸作家のアトリエと住まい

目的にあわせて空間を配置したパティオのあるコートハウス

 通りに面したスリット窓越しに映る、整然とディスプレイされた素敵な陶芸品の数々。ここは、陶芸作家であるお施主様の住まい、アトリエ、ギャラリーという3つの顔を持つ、アーキテクトシックス建築事務所の六鹿(むつが)さんが設計した建物。作品が並ぶギャラリーを道路側、プライバシーを重視する住まいを敷地奥側に配置。敷地の中央に設けたパティオを介して家全体に開放感と一体感をもたらす「コートハウス」スタイルで設計した。

外からのアプローチも兼ねるパティオを囲むように、ギャラリー、創作活動をするアトリエ、住居部分へと建物が連なる。パティオを通して、静かに細波をたてる水盤から空の表情を取り込み、頭上から降り注ぐ光や植物の緑を感じることで、プライバシーを確保しながらも自然との関わりを感じられる日常を設計した、と六鹿さんは言う。パティオに面したリビングには天井まで届く大きな掃き出し窓を取り入れ、この窓を開け放つことでパティオと室内が大きな開口部でフラットにつながる、ウチとソトの一体感と開放感が共存する曖昧な空間をデザイン。アトリエやギャラリーも大きな窓でパティオとつながり、建物のどこにいても日常と自然が繋がる豊かな暮らし方を実感できるという。

仕切りのない広々とした空間のLDK。リビングとダイニングの間に設けたスケルトン階段が、抜け感のあるデザインで緩やかに両空間を区切り、それぞれに独立した個性を持たせている。開放的にソトと繋がるリビングとは異なり、ダイニングには光と緑を感じる坪庭で、家族が集まる空間を穏やかな明るさと彩りで演出。階段の吹き抜けからも優しい光が降り注ぐ、光や自然に囲まれた気持ちの良い空間を生み出している。


3階建の建物もある周囲の環境の中で、「ロ」の字型の建物を街から切り取り、特別な空間を創造。それがお施主様の要望を取り入れながら豊かな暮らし方が実現できるようにと、六鹿さんが提案したプランだったのである。

Post:2024.10.17