住まいづくりcolumn
間口の広さを生かすインナーガレージのある家
インナーガレージと目隠し壁の間に設けた
空間のクッションとしての役目を持つ中庭
古くなったご自宅をリフォームし、住み慣れたこの地でのこれからの暮らしを思い描いていた今回のお施主様。しかし、相談を受けたツジデザイン一級建築士事務所の辻さんがご自宅に伺うと、考えていたようなリフォームは難しいことがわかったという。ご自宅は耐震性が脆弱な旧耐震基準で建てられており、まず現在の耐震基準に合わせた大がかりな耐震補強工事が必須だった。その上、長い年月の中で増改築を繰り返してきており、それもやり直すとなるとリフォームといえども相当のコストを覚悟しなくてはならないことが予想された。そういった現状を丁寧に説明した結果、一年の検討時間を経て最終的に新築で計画を進めることになったという。
広い間口で南側が接道する絶好の敷地環境ではあるが、それは裏を返すとプライバシーを確保するための工夫が重要であるということも意味する。そこで辻さんは、お施主様の要望であったインナーガレージを南側の敷地前面に配置し、その後ろに隠れるようにLDKを配置することにした。しかし、そうなると今度はリビングの日当たりが悪くなるのだが、リビングとガレージの間に中庭を設けて日射角を確保することで、明るさと眼前に庭が広がる開放感を実現。そして、今回の設計で取り入れたのが断熱性能等級5という高い断熱性能。高性能グラスウールと可変調湿気密シートで、断熱対策のみならず夏型結露へも配慮。そのおかげで一年中快適な室内環境を実現できているという。
Post:2025.04.04